ごっこ遊び

 娘がこの頃、かくれんぼをせがむ。

 すきあらばかくれんぼしている。

 しかも、すぐに見つけちゃダメで、いろんなところをあれこれ探して、どこかな~どこかな~ってやらないと、満足しない。

 「ウッフフフ」っていう笑い声とか、「ここだよー!」っていうヒントとか、しまいには「○○を見てごらん!」って言い出したりする。
 でも、それですぐに見つけちゃダメで、「え~?何か聞こえてきたけど、うーん、気のせいだなぁ!」などと小芝居をして、なおも探し続けないと、ダメ。

 それをひっきりなしにやる。一日に何回も何回もやる。

 『わたしをさがして』『わたしをもとめて』『つれもどしにきて』『何度でも』っていうサインなんだろうなあ、と思う。
 たぶん、2歳くらいの子が、さんざんやる、アレなのかな。

 きっと、やり直したり、取り戻したり、してるんだろうなあ。

 出来る限り、つき合う。あまりにも手が離せないときは、「ちょっとごめん、今は無理だけど、後でやろう」って言えばすぐにわかってくれる(5歳だから)。

 こういうの、必要な栄養なんだろうなと思う。
 次男も、何か、こういうわかりやすいサインを出してくれたらいいのにな、すぐに答えるのにな、って思うけど、「それを真剣に探りながら、関わっていく過程」そのものが、彼にとっての大事なものなのかもしれない、と考え直す。

 目の前にすぐ、安易に、回答をほしがらないこと。
 それにしても、「子供相手のごっこ遊びなんか、くだらなくてバカらしくてつき合っていられない!」って鼻息荒く言い捨てていた過去の私は…、「自分が遊んでもらってないから羨ましくて悔しい」っていう恨みでいっぱいだったんだなあと。

 わかったら、スッと成仏したので、今はいくらでもつき合っていられる。 
 子供たちがもっともっと小さくて、ごっこ遊びに真剣になっていた可愛い時期、あんなにイライラしないで一緒に遊びたかったな、もったいないことしたな、って思って泣けるけど、でも、それもこれも、全部ひっくるめての現在だし、これからのことだから、経験とはありがたいものなんだと思う。