夫婦喧嘩

 昨日、夫と喧嘩。まさに「喧嘩」としか言い様のない、くだらない、些細な、ぶつかり合いをした。

 長いつきあいの中で、夫があんなくだらないことで「キレた」のは初めてだった。

 いいことだなと思った。もっと私たちは、感情的に、ぶつかり合わないといけない。

 怖くない。

 
 些細なことで腹を立てて喧嘩して、言い合って、それでも仲直りできるね、大丈夫ね、ってことを、体験しないといけないと思った。

 交際期間も含めて20年近く一緒にいるのに、まだこんなこと、とびっくりするけど、私たちは二人とも、「感情的になることに蓋をしていた」から、きょうだい喧嘩みたいなこんな衝突、初めてだった。

 昨日、夫はめちゃくちゃ腹を立てて、いろいろな物音を立てて威嚇、アピールしつつ家を出て行った。

 しばらくして戻ってくると、今度は「具合悪いアピール」。

 わかりもしないのに薬箱をガサガサしてみたり、ぐったりしてみたり。

 全部、無視。先回りしない、甘やかさない、と決めたから。

 子供で鍛えられつつあるから平気だ。

 つまり、ちょっと前だったら、「どうしたの、薬?具合悪いの?」と声をかけ、世話を焼き、ストレスでそこまで体調を崩す夫の弱さを思いやり、そして、自分だけが強いふりをして抱え込んできたんだな。

 もう、そういうのは、やめた。

 口をきかないまま寝て、今朝、娘のおねしょで共同作業をして、そのタイミングで声をかけた。 
 心底、ホッとした顔をして、「昨日はごめんね、俺が悪かった」と言って、「ワイシャツのアイロン、頼むね」と言って、出て行った。

 激務に次ぐ激務で、仕事のストレスに加え、家庭内にも大きな心配事があって、辛いでしょう。私も辛い。親になるってこういうことだね。私一人が全てを抱え込んで、夫を可哀想がることはない。
 自分の感情や、体調や、さまざまな出来事は、自分で、面倒を見るのだ。そんな当たり前のこと、できなかった。


 子供ひとり、その子だけの問題なのだと思っていたものが、親子の問題だと気づき、きょうだい同士の関係性にも問題があるとわかり、ほかのきょうだいと親との関係にも問題があることまで突き止めて、とうとう最後は、やはり、「夫婦関係」なのだった。避けては通れない。ラスボスだ。でも、もう怖くないよ。悲しくもない。
 もう、ただの「仲良し」だった私たちには戻れないけど、いったん壊して、また、組み立て直すんだ。

 部品は同じ。何も無くならない。形が変わるだけ。

 でも、前よりももっと強くてしっかりした家庭を築ける。たぶん。

 1個ずつ確認しながら組み立てていこう。一緒に。

 そんな気持ちでいる。