行けなかった遠足

 ダメだった。

 準備して、学校まで行って、友達とも話して、先生とも話して、それでもやっぱり「怖い」と。

 かわいそうに。

 イルカショー見たかったな、と学校の玄関で涙ぐんでいた。

 楽しみにしてたのに、行きたかったのに、悔しいと言っていた。

 楽しそうにはしゃいでいた同級生たち。ただ、かわいそうで、涙が出る。


 だけど、次男は「悔しさ」を、私は「悲しさ」を、感じていると自覚できるようになっただけ、変化してきている。

 そしてそれは、とても大きな変化。

 以前は、私も次男も、もっと混沌とした「怒り」、それも、噴き上がってくるような猛烈な怒りとしてしか、表現させられなかった。

 その頃のわけのわからない苦しさに比べたら、 悔しさも、悲しさも、胸を締めつけるけれど、頭が痛くなるくらい涙は出るけど、それでも…、ただ感じることができる。できるようになってきた。

 怒りで誤魔化していた本当の感情に、辿り着けたと思う。