頑張ってきたんだな
一人で買い物に行き、大量の買い物袋をうんうん言いながら運びつつ、ほんの数年前を思い出した。
私は運転ができないので、背中に娘をおんぶ、自転車の前後に兄弟を乗せ、買い物袋は左右のハンドルにかけ、お店から帰ってきたら兄弟が両方とも寝てて、泣きそうになりながら、どうやったんだろうな、どうにかしたんだろうな。
そんな毎日だった。毎日それの繰り返しだった。
夫は仕事が爆裂激務で、ほとんど家にいなかった。泊まりも多かった。
夫の休日は買い出しで終わり、日々、家のことを回すことに必死だった。
子供を、とにかく、死なせないことだけが最優先で、あとのことまで考えられなかった、一瞬先のことすら何も考えられなかった。
次男が不登校になり、娘もいろいろ問題があり、私、かつての育児を死ぬほど悔やんだ。
あのときもっとああしてれば、こうしてれば、もっとちゃんと考えてれば、ここまで子供は壊れなかったのかもしれないって、悔やまなかった瞬間はない。
でも、思い出してみても、やっぱりあの時期は、生きてるだけで精一杯だった。
子供を死なせない、大怪我させない、健康を損なわない、ただそれのみを必死にやってきたのだから、ほんとによく頑張ったよ、よくやってきたよ、って心から思えた。
病院だって、誰か一人が具合悪ければ、おんぶと抱っこで全員連れていかなければならなかった。
何度も何度も、病院も行った、夜間救急も行った。
そして、子供は何とか大きくなり、ようやく今、あの時期に私に受け止めてもらえなかったいろんな気持ちをぶつけてきているのだから、私はそれをしっかり受け止めよう。
今まで、待たせてごめんね。
ようやく言えるって、出せるって、思ったんだよね。
今から、しっかり、取りこぼしてきたものをやり直そうと思う。
頑張ってきて、必死にやって来て、そこに何か間違いや、失敗や、足りなかったことがあったとしても、それで終わりじゃなくて、こうやって何度でもチャンスが与えられることを良かったと思う。
道は平坦ではなく、ほんと苦しいんだけど、でも、自分を責める気持ちはなくなった。
今までは、責めても何もならない、時間の無駄、と思って、我慢して自責の念から逃げてたけど、今は、ほんとよくやってたよ、あのとき頑張ってたから、今があるんだよ、そしてまた今の頑張りが、先に繋がるよ、って自然に思える。