学校に行かない理由

 小1の次男、3学期はちょこちょこ「学校に行きたくない」っていう風になる。 
 ちょっと繊細で難しいところがある子なので、担任の先生と細かく連携を取りつつ、無理強いせず様子を見ていたんだけど、どうも改善しない。 
 今日の土曜登校も、玄関まで行ってから涙ぐんで「行きたくない」という。夫と二人であれこれ話してみたけど、どうしても無理だったので休ませた。

 放課後、集団下校の引率だった担任の先生が、うちに寄って次男の顔を見に来てくれた。
 そしていろいろ話してくれたけど、第一声が、「学校に行きたくないな、っていう気持ちになったとしても、君は、全然悪くない。心配しなくていい」だった。
 そして最後は、「何かあったら、お父さんお母さん、先生に相談してね」と。
 子供本人に、責任を負わせるような発言は一切しない先生だった。
 ただ、ひたすら、「君はどう思ったの?」「そのときはどういう感じだったの?」と丁寧に聞いてくれる。
 私も、次男の代わりに口を出しそうになる場面が何度かあったけど、いやいや、ここはそういうことじゃないよな。と思って黙っていた。
 先生はきっと、それがどんなに拙いものでも、次男の言葉を聞き、表情を見に来てくれているのだから。
  
 最後に先生は、「何か君からの相談があったときは、大人がいろいろ考えてあげる。それが大人の仕事だから、君は心配しなくていい」っていうことを、言ってくれた。
 そして、「頑張りすぎなくていい、でも、学校に来てくれたら、先生も友達も、とても嬉しい」って。何なのか。むしろ私のセラピーに来たのか。次男は生真面目な顔をして頷いて聞いていた。

 そう、次男はとても真面目な子で、小さな失敗でもとても心配する。
 だからきっと、怠けたりさぼったりしたくて、学校に行きたくないと言ってるわけじゃない。
 たぶん、学校に行きたくない、行かない…という選択をするにあたって、一番それが不安なのは本人だと思う。
 最初は、喘息の発作が出る、という申告だった。一度登校したのに、戻ってきて、吸入をしたり薬をのんだりしてから、私が学校まで送っていく、ということが何度かあった。
 次は、腹痛を訴えることが増えた。

 そのあたりで私が、「もし、学校に行きたくないな、っていう気持ちがあるんだったら、そのときは、そう言いなさい。具合悪いということを理由にしなくていい。行きたくないなら行かなくていい。本当に病気かどうかわからなくて心配するから、体調悪いふりはしなくてもいいよ」という話をした。

 そうしたら、ストレートに、「学校に行きたくない」と言い始めるようになった。

 先生が厳しいからかな?と思った。
 訊くと、そうじゃない、という。友達とうまくいかないのだ、と答える。
 でも、友達関係で苦労するようなタイプでもなく、実際にそういうトラブルもないと先生からは聞いていた。
 今朝はとうとう、「勉強がいやだ」と言い出していた。
 言うに事欠いて、勉強がいやだ、が出たかー。このあたりで私は、「あ、学校が問題じゃないんだな」とようやく思い至った。
 
 そういうことなら、ひとつ心当たりがある。
 彼は「学校に行きたくない」んじゃなくて、「お母さんにもうちょっと甘えたい」んじゃないか。
 具体的には、朝の身支度を、登校に間に合うように手伝ってほしいんだと思う。
 小学生の登校時刻と、娘の園バスの定刻が重なるため、私は朝はもうドタバタのワーワーギャーギャーだ。
 だから、小学生兄弟に「早くしなさい」「急ぎなさい」「忘れ物はないか」「薬は飲んだか」と、あれをしろ早くしろ、これはやるな今じゃなくていい!ぎゃー!みたいなことを叫び散らして、「じゃ、お母さんバスの時間があるからね!」と叫びながら娘と二人で風のようにいなくなり、娘をバスに乗せて戻ってくると、うまくいけば小学生は登校済み。
 でも下手すると、次男の身支度がまだ終わってなくて、迎えに来てくれてる小3男子達がブーイングの真っ最中、ってこともよくある。
 で、次男は、うまくいかないことがあると一気にこじれるタイプなので、そうなると嫌になっちゃって、意地でも急ぐもんか、みたいになる。だからもしかすると、その辺が原因なのかもなあ、と思った。

 3月生まれのチビで、ようやく、もうすぐ7歳。
 つい、長男と同じ感覚で接してしまうけど、まだまだ、手をかけてあげないとダメなところが多いんだろうな、ほんとは。

 来週は娘のバス通園をやめて、園まで送っていくことにしよう。
 そうすれば小学生の登校を見届けられるから、次男の着替えを手伝って、ランドセルの中身を一緒に丁寧に見てあげよう。
 ほんとはそんなこと、とっくに一人でできる子だけど、でも、傍について一緒にやってあげよう。
 何となくだけど、何日かそうやって「ちゃんと見てるよ、気にかけてるよ」っていうことを集中して伝えてあげれば、納得して落ち着くような気がする。