トライ&エラー

「母性」が本能ではなくて後天的に習得するものであるように、「父性(的なもの)」もそうなんだと思う。
 子供が生まれたからって突然「お父さん」になるわけではなくて、だんだん、子供によって「父親」になっていくんだろう。
 
 夫は、よく子供につきあって遊ぶし話も聞いてやるし、攻撃的に怒ることもないし怒鳴ることもない。
 しかし、一定の規範をもって子供を導く、という概念が無い。
 私にも無かった。
 私にあったのは、感情的にヒステリックに抑圧すること、そして「ああこれじゃだめだ、こんなに一方的に押さえつけちゃだめだ」と反省して極端に甘くなること、その繰り返し。
 基準が無い。制限も無い。行き当たりばったり、出たとこ勝負。
  でもね、でも…それでも…、一生懸命、子供のことを愛してきたつもりだったの。きちんと向き合ってるつもりだった。
 
 全力で。真剣に。
 
 だけど、何事も、精神論や根性論だけじゃ話にならない。どんなに必死にやってきたからといって、努力してきたからといって、それが子供にとって必要なものじゃなければ全く意味がない。
 
 「頑張ってきたのに!こんなに!」みたいなものは、100万回言ったって何一つ変わっていかない。
 うまくいかない言い訳なんていくらでもできるけど、そんなことをしている間に、子供はどんどん変わっていってしまう。
 間に合うか、間に合わないか、そういうこともわからないまま、とりあえずやっていくしかない。
  走りながら、考える、手に取って試してみる、違うと思ったらすぐに捨てる、そして次に何を取るかを考える、その間も休みなく走り続ける。
 
 「結果」なんてものは、無い。いつだって、つねに、「過程」でしかない。
 
 その過程を、どうしたらより良いものに変えていけるか?とにかくトライ&エラー&トライ、それだけ、なんだね。